「手術から4年半目に、MRIで"再発なし"を確認しました」
レポートNo.27 

渡部菜々子(38歳)
●手術から4年半目に、MRIで"再発なし"を確認しました
この夏、久しぶりに広尾を訪ね、斎藤先生にお会いしました。
子宮筋腫で先生に手術していただいたのが94年の1月24日、術後のMRIを見ていただいたのが6月23日ですから、かれこれ4年半ぶりでした。広尾が現在の横浜市鶴見に移転したのは94年の春で、私が手術を受けたときにはクリニックはまだ港区南青山にありました。ですから、私は以前のクリニックで手術を受けた最後の方の患者ということになります。

4年ぶりに広尾を訪ねた目的は、MRIによって子宮筋腫が再発していないことを確認するためでした。手術後は「生理ってこんなに軽いものだったの?」と驚くほど出血量が少なくなり、それまでは生理日を避けて旅行や遠出の予定を立てていたのが、まったく気にならなくなっていましたので、筋腫の再発を疑うような兆候は特になかったのですが、念のために診ていただこうと思ったのです。


●MRIに写し出されたきれいな子宮
若い患者ほど術後の再発を心配するそうですが、その不安は私にもありました。特に自覚症状がないまま、ひょんなきっかけで子宮筋腫が見つかり、手術したのが34歳のとき。本人が気がつかないうちに子宮に筋腫がいくつも出来ていたなんて、まさに"青天のへきれき"のショックでしたが、筋腫の原因が今なお特定できないということも不安の材料でした。原因がわからない以上、ひょっとしたら再発することもあるのではないか、という心配が若い患者ほど頭をかすめるのだと思います。

そんな心配をよそに、4年ぶりのMRIの画像は、見事に"再発なし"の子宮を写し出していました。術後5カ月して撮った4年前のMRIの画像とほぼ同じ子宮を自分の目で確認し、「これから先も再発することはまずないでしょう」という先生の言葉を聞いて、「ああ、あのときに手術を受けていてよかった」とつくづく思いました。


●旅先で見つけたお腹のこぶ
ひょんなきっかけで筋腫が見つかったと書きましたが、下腹部のこぶに初めて気がついたのは、旅先のバリ島のホテルで、ベッドの上に寝ころんで何気なくお腹をさわったときでした。ちょうどダイエット中のぺたんこのお腹に何かこぶのようなものが触れるのです。「あれっ、なんだろう?」とびっくりして、一緒に来ていた姉に「お姉ちゃんのお腹には何か触れるものはない?」と聞くと、「そんなもの、ないわよ」と言うのです。

バリ島に旅行したのは93年11月の末でしたが、実はこの1カ月前に母の勧めで初めて子宮ガン検診を受けています。結果は「異常なし」で、その時に内診した医師からも何も言われませんでした。ですから、お腹のこぶが子宮の病気であろうとは露ほども考えなかったのです。

お腹のこぶが気になって、旅行から戻るとすぐに従兄弟が開業している病院に行って、超音波で腹部を診てもらいました。従兄弟は私のホームドクターで、何か心配な症状があるとすぐに飛んで行くのですが、内科の従兄弟は「婦人科かもしれないから、一度きちんと検査したほうがいいね」と、大学病院の婦人科に紹介状を書いてくれました。


●強く願っていることは必ずかなう
大学病院での診断は子宮筋腫で、すぐに手術を勧められました。手術イコール全摘です。あまりに唐突で、「この先生、何を言っているの?」と医師の言っていることがよく呑み込めず、自分が子宮筋腫の病人であるという現実感はまったくありませんでした。

年明け早々にMRIを撮ることを予約して帰宅してからも、釈然としない思いが続きました。それは「筋腫は良性の腫瘍なのに、なぜ子宮ごと摘出しなくてはならないの?」という疑問です。

B型の私はもともとプラス思考でものごとをとらえる傾向が強く、この時も「自分が強く願っていることは必ず実現する」というマーフィーの法則を信じて、「きっと全摘せずに治る方法がある」と強く強く願いました。

斎藤先生の本『子宮をのこしたい』に出会ったのは、大学病院でのMRIの検査日を待っている間の暮れも押し詰まった頃でした。たまたま立ち寄ったそれほど大きくもない本屋の、家庭医学のコーナーで目にしたのが先生の本だったのです。『子宮をのこしたい』というタイトルは私の気持ちそのままで、その背表紙の文字に視線が止まり、書棚から本を手にしたときに「これだ!」という確信のようなものがありました。

全摘でない方法を、と強く願った気持ちが斎藤先生の本に引き合わせてくれたのだと、今でも思っています。


●MRIのコピーを持って広尾へ
大学病院でMRIを撮ったのは1月10日。そのときにはもう斎藤先生に一度診ていただこうという気持ちがありましたので、どのような結果になろうと覚悟はできていました。MRIの結果、やはり全摘という診断でしたので、思い切って担当医に「レーザーで子宮保存手術をする方法があると本で読んだのですが」と話してみました。

このホームページの体験談でも皆さんがレポートされているように、たいていの大学病院は他の医療機関との連携を好まず、ましてや子宮全摘が治療の常識となっている子宮筋腫に子宮保存手術を行うなどという開業医の医療行為を認めようとはしないもののようです。この担当医もきっとイヤな顔をするだろうな、と思ったのです。

ところが、意に反して、担当医は「色々な方法を選んだほうがいいですよ」と言って、こちらから頼む前に自らかたわらの看護婦さんにMRIのコピーをとるように命じたのです。こういう医師も大学病院にいるんだ、と嬉しくなって、強く願ったことが一歩一歩実現していくように実感したものです。要はその医師のパーソナリティーなのでしょうか。

MRIのコピーを受け取るとすぐに広尾に電話をして、初診の予約を入れました。そして、初めて広尾に行ったのが1月14日。持参したMRIの画像を見ながら説明を受け、子宮保存手術可能との斎藤先生の言葉に、手術を受けることをその場で決めました。


●従兄弟が言った「適正な診療報酬だ」
いったん決めたら、それに向かって突き進む。これはB型の特徴かもしれません。14日の初診で手術を予約した私は、広尾からの帰途、従兄弟の病院に寄って、その日のうちに手術に必要な検査を受けました。MRI以外の胸部X線や心電図、血液検査、尿検査などです。

広尾が自費診療であること、そのため費用の患者負担が大きいことについても従兄弟に意見を求めてみました。病院経営者という同じ立場の従兄弟は、「これだけの手術内容と術後のケアを考えれば、決して高い診療報酬ではないと思う。保険診療だと自己負担分が少ないから医療費が安いように錯覚しているが、仮に保険で手術をして2割負担で40万円の医療費を払ったとしても、実際には100万円以上の高額な医療費がかかっていることになる。本来、医療というのはお金がかかるもの。それに、自費診療をしている医療機関に対しては税務署の監査が厳しいので、むしろ適正かやや少ない額の診療報酬と言えるのではないか」と話してくれました。

自己負担が高額であるという現象面だけを見て「法外な医療費をとっている」と広尾を攻撃する人たちがいると聞いていますが、従兄弟の話しを聞いて、私は手術の内容はもちろん、費用についても納得して手術に臨むことができました。

その信頼感がなければ、術後4年半のこの夏に、"再発なし"を確認するために広尾を再び訪れることはなかったと思います。
術前(pre-ope)の
MRI
術後(post-ope)3ヶ月のMRI 術後(post-ope)5年のMRI
術前のMRI 術後のMRI 術後のMRI
腸が子宮上に被さっている


術 前(pre ope) 術 後(post ope)
赤血球(RBC)(x104/ul)429482
ヘマトクリット(Ht)(%)37.442.9
血色素(Hb)(g/dl)12.514.7
備考
腹部の腫瘤をじたのみで、その他の自覚症状なし。
摘出物 ;415g 平滑筋腫(leiomyomd)


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