「鈍感なまま、自分を納得させないでよかった!」
レポートNo.35

Miss.M.N(36才)
●大きな塊が筋腫だとわかるまで
30才を過ぎたぐらいからでしょうか、お腹をおさえると子宮があるあたりに固いものがあることに気がついていたのですが、生理も普通だし、お腹が痛むこともなかったので気にしないようにつとめていました。

2年前の夏頃、固い塊が急に大きくなったように思いました。特に生理前はお臍の下まで固くなって、これは尋常ではないっとおもいながらも、生理が終わると随分小さくなるので症状もないし、また気にしないようにつとめていました。子宮の病気であれば、何か症状があるはずだと思い込んでいたのです。子宮筋腫で全摘した方の話を聞く機会があり、もしかして私もそうなのでは..と、そのとき初めて自分が子宮筋腫なのではっという疑問が沸いてきました。この塊が筋腫だとすると、かなり大きいぞっ、どうなるんだろうと..。頻尿の症状も出てきていて、夜中に一度はお手洗いに起きていました。

すぐに近くの総合病院の内科に受診しました。きっと、婦人科だろうと思いつつ内診がいやでとりあえず内科で見てもらいました。妊娠の可能性がないなら、筋腫だろうという診察だったと思います。一週間後に婦人科の診察の予約を入れて帰ってきました。

この一週間の間に筋腫についてインターネットで調べてみました。そこで初めて広尾メディカルのホームページにたどりつき、私と同じ症状のない方で、大きい筋腫の核出手術に成功された方の体験談を読んで勇気づけられました。ホームページに質問のメールを出すと、斎藤先生からすぐにお返事をいただきました。症状のない筋腫はよくあることで、無症状が故に筋腫が大型してもわからないということでした。そこでもっと勉強をして、先生に手術していただくべきでした。斎藤先生でないとなしえない手術であるというのが解っていなかったのです。

安易に大きい筋腫でも、核出手術ができるんだっと喜んでいました。先生に手術していただくまで、1年間の遠回りをし、出口のないトンネルに突入してしまいました。<


●安易な決断
総合病院の婦人科の診察はエコーでみていただきました。赤ちゃんの頭ぐらいの大きな筋腫がエコーの画像に写っていました。筋腫だと確信していたものの、ショックでした。

すぐにMRIを撮っていただくと、筋層内に出来ている、核出手術が難しい筋腫でした。またまたショックでした。ホルモン治療をしても、小さくなる可能性は少ないとのことで、年明けに手術をするかどうか返事をすることになりました。悩んだ据え、思い切って手術をしていただく事にしました。アトピー性皮膚炎の症状もありましたので、ホルモン治療で悪化するのが怖かったですし、はやくスッキリしたいと思う気持ちが強く、何とか大丈夫ではと甘く考えていたのです。

お腹を開いてみて温存が難しいようであれば、そのまま閉じるということで、手術に踏み切ることにしました。術前の検査など準備を進めている時に、母が私を思いとどまらせてくれました。子宮の手術の難しさ、出血多量になった場合は全摘をまぬがれない事を主治医の先生よりうかがい、手術を反対され、ホルモン治療を勧められました。今では、思いとどまらせてくれたことに、ほんとうに感謝しています。


●無駄なホルモン治療の長い日々
わずかな期待を込めて、ホルモン治療をすることに決め、スプレキュアを半年続けました。2ヶ月に1回、検診をしエコーで見ていただきました。一回りぐらい小さくなっていたときは、嬉しかったです。このままどんどん小さくなっていくのではと少し期待をしてしまいました。

核出手術が難しいのは変わらない。 手術をしても大きい筋種の場合は全部とり切れず再発する可能性が高い。この頃は、このまま大きくならないのであれば、症状もないしこのまま筋腫と共存していこうかとも思っていました。でも、共存していくにはたくさんあきらめないといけないことがあります。妊娠しても、流産になる可能性が高い。どこまで大きくなるかわからない筋腫を抱えていることのストレス、不安。全身の倦怠感。ホルモン治療の副作用。とりあえず、ホルモン治療の結果が出るまで、あまり考えないようにつとめるようにしていました。

半年の治療が終わり、副作用がでていないかの検査を行いました。すると、60才の骨密度になっていました。ショックでした。これ以上、ホルモン治療はできないので、しばらく様子をみることになりました。

10月半ば頃、エコーで見ていただくと、元の大きさに戻っていました。半年間もかかって小さくした筋腫は2ヶ月で元に戻ってしまいました。生理の量も増えてきましたし、まだまだ大きくなるような感じがしました。

また、ホルモン治療をすることになりました。今度はリュープリン注射です。副作用が出にくいように考えてくださったのですが、不安が一杯でした。いつまで続くかわからないホルモン治療で骨がボロボロになってしまうのではと..。
出口のないトンネルです。病院からの帰り道は、いつも辛いものでした。


●トンネルの出口が見えた!
もう、全摘覚悟で手術していただくしかないかと悩んでいたのですが、斎藤先生に見ていただいてからでないと後悔すると思い、最後の望みをかけて診察していただくことにしました。一年前は手術に反対だった両親も、今までの経過を見て、後悔することのないようにと賛成してくれました。

11月4日に初診の予約を入れ、MRIの画像と紹介状を持って、母と一緒にうかがいました。
斎藤先生はMRIの画像を見るとすぐに、「大丈夫ですよ。子宮は残せます。」と言ってくださいました。あんなに難しいといわれていた筋腫なのに、夢のようでした。術後2日目の方にお話を聞かせていただき、安心して手術の予約を入れる事が出来ました。年内の12月14日にきめ、横浜見物をし、晴れ晴れとした気持ちで帰路につきました。

トンネルの出口が見えてきた、これからのことを考えられる毎日がとても嬉しくて、手術日まではあっという間でした。今まで見ていただいていた、主治医の先生に報告に行くと、「頑張ってください」とのお言葉をいただき、術前の検査も快く引き受けてくださいました。


●不安を感じなかった、手術、入院生活
手術前日に飛行機で横浜に入り、予約していただいていたホテルに母と一泊しました。ベッドに横になって、出っ張ったお腹をなでながら、この大きな塊とも明日でおさらばできるかと思うと、嬉しくて嬉しくて、術前の不安はあまり感じず、熟睡することができました。

手術は3時間程でしたが、麻酔がよく効いていて、ぼんやりとウトウトしている間に済んでいました。汗びっしょりになってらっしゃる先生の姿を見て、大変な手術をしていただいていたのだと自覚するぐらい、3時間の手術時間は苦痛ではありませんでした。筋腫670g以外に、内膜ポリープ0.1g線筋症の疑い部分5gを取っていただき、丁寧に手術していただけた事をほんとうにありがたく思いました。

術後の夜の痛みは、私の場合ほとんどなかったのですが、麻酔からくる吐き気と、膀胱に尿が溜まっている感じがつらく、あまり眠れませんでした。2日目に尿管を取っていただいてからは、麻酔からの眠気もとれ、随分楽になりました。

すぐに室内をゆっくり歩くことができ、自分でおトイレにいけたときに、安心したのか喜びがしみじみ沸いてきました。それからは日毎によくなっていき、無事に土曜日に飛行機で大阪まで帰ることができました。
先生に空港まで送っていただけたので、後は一人でも困ったことはなにもありませんでした。迎えにきてくれていた両親も元気な私をみて、びっくりしたようです。

先生、広尾の皆様はこちらが不安になる前に、さりげなく心遣いしてくださいます。精神面でもさりげなく声をかけて下さり、安心させてくださいました。広尾メディカルでの入院生活はほんとうに快適で、家に帰った時は何か寂しく感じるくらいでした。


●筋腫が消失し、健全な子宮を残していただけた
3ヶ月後のMRIでは筋腫は消失し、先生からも安心して大丈夫との診断をいただきました。 筋腫とはおさらばできました。

大きな筋腫を持っていた私の場合、普通の手術だと成功したとしても、再発を気にしなくてはいけない状態だったと思います。おさらばできたのは、斎藤先生に手術していただかなければなかったことです。今では、大きい筋腫で手術が難しかった事が、かえってよかったように思えます。斎藤先生の手術を受けることができて、ほんとうに幸運でした。


●自分を納得させないでよかった!
術後、半年が経った今、ほんとうに健康です。

手術前は生あくびが出て、体がだるくてしょうがなかったのですが、体も軽くなり、疲れにくくなりました。 アトピーの症状もどうしてもよくならなかった部分を普通の肌に戻すことができました。もうちょっとで、アトピーともおさらばできるかもしれません。傷口もきれいになってきました。

筋腫があった事で、体にはだいぶ負担をかけていたようです。今まで普通だと思っていた事が、実は健康な状態ではなかったのだと、健康になってみて始めてわかりました。先生に手術していただかなければ、ずっと、鈍感なまま、自分を納得させて、一生すごしていたと思います。
術前(pre-ope)
のMRI
術後(post-ope)
3ヶ月のMRI
術前のMRI 術後のMRI
術後直後の子宮適出物
術後の子宮 摘出物


術 前(pre ope) 術 後(post ope)
赤血球(RBC)461499
血色素(Hb)(g/dl)13.914.9
ヘマトクリット(Ht)(%)40.244.4
備考
●横切開、8cm
●出血量:331ml
●摘出物 :
  筋腫                    670g
  腺筋症                    5g
  内膜ポリープ(polyp)     0.1g
●病理:全て良性



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