「子宮を手術した私に自然分娩の可能性が!」
レポートNo.64

平良淳子(29才)
●とにかく病院はキライ
私はこれまで入院するような大病の経験が無く、注射や薬が大嫌いなので、自力で治せるなら自力で、病院にかかるなら「最短期間で治せる最良の治療法を」がモットーでした。

まともに病院に通った記憶は20代の初め頃。オッパイに小さな小さなシコリができましたが、良性なので切り取る必要は無いと言われました。ですが、切らずにいると検査のために通院しなくてはなりません。それがたまらなくイヤで・・・。

どうしても切除してほしいという私に、お医者さんも心配して、「若い人は、普通切らないくらいの大きさなんだよ。」と言ってくれましたが、切除してまえば検診で通院する必要は無くなる→不安も消える→切除して欲しい、という私の意思は変わらず切ってもらいました。

通院の必要が無くなり、サバサバしたものでした。短気に思えるかもしれませんが、とにかく通院・検査・注射・薬、どれも大嫌いなので、早く遠ざかれるのなら最短で治療する方法を選ぶ私でした。こんな私が開腹手術を受けたのかと今でも不思議ですが、やはり私にとっては「最短・最良」方法だったのです。

手元にはクリニックからのカルテや写真があり、泣くほど痛かった注射を思い出します。あの注射に比べたら、手術の傷なんて痛くないのと同じでした。


●生理痛から逃れるためのイケナイ行動
生理が始まった10代の頃は全く何とも無く、普通の生活を送れていました。

20歳を過ぎる頃から段々と痛みが現れ、最初は何とか鎮痛剤を飲まずに耐えられる程度の痛みが、20代半ばを過ぎる頃には激痛へと変わり、薬に頼らざるを得なくなり、バファリンを愛用?していました。服用すると生理痛は治まりますが、何だか変にテンションが上がります。薬のせいで「トんじゃってる」状態です。感覚が普通じゃなくなっていると感じました。それだけキツイ薬だったのだと思います。

だんだんと薬が効かなくなり服用間隔も短く、なかなか痛みが治まらなければ規定量より多く服用するなど、体に悪くイケナイ事だとは分かっていましたが、一旦生理痛が暴れ始めると本当にタイヘンなのです。私には、薬を少々メチャクチャに飲んで多少カラダが傷むより、生理痛の苦しみの方が恐ろしかったのです。

薬が効いている間はいいのですが、薬が切れて痛みが暴れだしたら、やっかいでした。たった数歩、数メートル先のベンチまで行く事すら困難な・どんな姿勢になってもダメな・楽な姿勢が無い痛み。内臓を絞られるような・差し込むような、「動けない」としか表現できない痛みです。この痛みのせいで、どれだけひどい目にあってきたことか・・・。

朝、家を出るときは平気だったのに、通勤途中で「痛みの予感」があり、電車を降りることもしばしばでした。そうなるともう、自力で動くのは不可能です。一緒に通勤している夫に水を買ってきてもらい、ベンチで薬を飲み、痛みが治まるのをひたすら待ちます。駅のベンチで、夫に「いってらっしゃい」したことも数回です。

さらに会社からの帰宅、1日痛みも無く無事だった・・・と安堵感と共に電車を降りた途端に痛みに襲われ、体が固まってしまいました。そういう時に限っていつも持ち歩いている薬を持っていなかったりするんです。痛みで冷や汗・脂汗をかきつつ、必死の思いで家に電話をかけ、薬とお水を駅のホームまで持ってきてくれるよう夫に頼みました。夫は私が動けなくなるとどのくらいタイヘンかよく知っていますので、駅からは徒歩5分なのに車で迎えにきてくれました。

友人と海外旅行に行った時も買い物や観光・・・、と楽しんでいたら突然の痛みが!薬はホテルの部屋に戻らないとありません。せっかくの旅行だったのに、その日の予定はそこでストップ。友人にも心配をかけ、台無しでした。

「生理が始まってから何日目までは痛く、それ以降は大丈夫」と決まっていれば対処のしようもあるというのに、「今日は大丈夫」と思っていても、昼過ぎや夜に突然痛くなるのです。鎮痛剤が効いて痛みが治まるまでの1〜2時間は、本当に辛く、耐えがたい時間でした。


●軽い「検診」のつもりが・・・
27歳で結婚して子供はいずれ欲しいと思っていましたし、友人が「そんなにひどい生理痛は何かオカシイんじゃないの?」と言うものだから、それなら検査ぐらいは受けなくちゃ、という気持ちになりました。が、私は大の病院嫌い・・・。「どうせかかるなら良いお医者さんでないと」と思い、インターネットで調べました。「広尾メディカルクリニック」を探し当て、ホームページをじっくり読んで、これだけの実績があれば大丈夫かな?と思い、軽く「検診を受けるだけ」のつもりで、夫婦2人してクリニックを訪れました。

エコー検査で、斎藤先生は画面を指しながら説明してくださいましたが、「こっちの腫れてるほうが問題だねぇ。」という一言で私は大パニック。私自身、自分が病気だなんて微塵も考えていませんでしたから。この日だって「ハイ、異常なし。痛いときは**してね」程度で帰れるものと考えていました。ものすごくうろたえていましたが、先生の「これなら手術すれば生理痛は無くなるし、今まで手術した人たちで痛みの無くならなかった人はいないよ。」という言葉はシッカリ聞こえました。

いつまでも痛み止めの薬はアテにできない→ホルモン療法は絶対にイヤ→ならばここで手術するのがベスト。例の決断の早さがここでも発揮されました。「ここで治療するしか道は無い!」と決めたものの、費用は大丈夫?手術を待ってる間はどうするの?などなど、疑問や考え事が色々ありました。

また、この年の暮れに新居へ引越しというイベントも控えており、こんな時期に手術なんかして引越しの時に働けなかったらどうしよう?という不安感もありました。そんなことは、今になれば全て杞憂だったのですが・・・。

「私を治してもらうのは広尾以外あり得ない」と決断しつつも、多少の迷いと予定との兼ね合いなどあって、なかなか踏み切れずにいました。ですが生理のたび突然の痛みに怯え、薬漬けになり、誰かに面倒をかけ続けるよりかは、手術して、あの痛みとオサラバしようと思い、手術の決心がつきました。手術予定が10月と、私にとってもタイミングの良い時期だったのも幸いでした。


●手術と入院・一番苦しんだ事
平成11年10月手術日。手術前、手術のために色々な処置をされ、注射をされます。普通は、皮下注射より筋肉注射の方が痛いといいますが、私はアレルギーテストの皮下注射が強烈に痛く、泣きそうでした。看護婦さんに「もう1本、痛い注射があるのよ。」と言われ、ビクビクしていましたが、その注射は平気でした。

麻酔も、動くと危険だというのにビクビクして動いてしまい、看護婦さんに手を握っていてもらいました。点滴は何ともなかったのですから、きっと私は、皮膚をチクリとされるのが極端に苦手なのでしょう。入院中の注射も看護婦さんに『裏技』を使ってもらい、痛くないようにしてもらいました。看護婦さん達にも、本当にお手間をかけたと思います。

私のお腹から出てきたのは、本当に小さい、ひとかけらのニンニクのような筋腫とわずかな内膜ポリープだけでしたが、たったこれっぽっちのカケラが私をあんなに苦しめていたのか、と思いは複雑でした。体験談のように、大きな筋腫でも自覚症状の無い方もいるし、私のようにカケラほどでも激しい症状がある人もいたり、本当に分かりにくい病気なんですね。

術後、なかなかガスが出ずちょっと苦しい思いをしました。食事をするとお腹がパンパンに張って、ご飯前はスタスタ歩けていたのが、食後はお腹が苦しくて動けないという状態が続きました。(決して食べ過ぎではありませんよ。)ご飯が消化されれば元気な状態に戻るし、お通じはキチンとあったので心配はしていませんでした。ほかは至って良好。元気に過ごしました。

退院前日・金曜日の夜。患者4人集められ、「これから食事に行くから」と先生の車でドライブに。術後4日目だというのに、普通では到底考えられないイベントです。アクアラインから千葉方面へ向かい、おいしい魚料理をいただきました。その後お台場に行って「うみほたる」で記念写真。その写真を今見ても、全然「普通の人たち」です。とても術後4日の人たちには見えません。

ところが入院中の一番苦しい出来事が、このドライブ中に起こりました。先生のくだらない冗談がツボにはまり、私だけ笑いが止まらなくなったのです。いくら元気に振舞っても、お腹の傷はまだまだ痛いんです。痛くて痛くて、なのに笑いがとまらない・・・。本当に、あのくだらない話は止めておいて欲しかった、と今では笑い話ですが、その時は本当に痛くて辛かったんです。先生は今も変わらず、ヘンな冗談を言っては患者さん達を楽しませ?ていらっしゃるんでしょうね。

術後の生理は快適でした。最初は始まるときに何となく重い感じがして、恐怖感にかられて薬を1回だけ飲みましたが、2回目以降は何とも無く、薬も必要なくなりました。全く痛みが無く、普通と変わらない生活ができるのです。感激でした。

12月の引越しの頃にはすっかり元通りに元気になっていて、テキパキ働けました。不思議なのは生理の始まりが自分でわかるようになったこと。以前はトイレで「あれ、始まってる」と分かっていたのが、術後は「あ、流れる」と、何かがお腹の中を流れる感覚が分かり、そうしたら程なく始まります。同じ人間の感覚がこうも変化するのかと不思議でなりません。


●もうすぐ『お母さん』
私は、健康で何とも無い生理の幸福感を長く味わえませんした。妊娠したのです。既に臨月です。今かかっている婦人科の先生は、「なるべく自然分娩で、どうしても無理なようだったら帝王切開しましょう。」と言ってくれました。

なるべく普通分娩したかったので、「子宮を手術してるなら帝王切開」と決めてかかる医師はパスでした。そうなったら、自然分娩させてくれる先生を見つけるまで、探し歩いたことでしょう。子供の成長が一時期平均より小さくて焦りましたが、その後小さいながらも順調に成長しているとのことで、きっと私の願いを察して、自然に生まれられるよう小さく育ってくれたのだと思います。

斎藤先生、「広尾」の皆さん、本当にありがとうございました。

私の体験談は一旦ここで終わります。無事出産をおえたら、また改めてご報告したいと思います。
術前(pre-ope)
のMRI
術後(post-ope)
のMRI
術前のMRI1 術後のMRI1

摘出物
摘出物
摘出物 摘出物


術 前(pre ope) 術 後(post ope)
赤血球(RBC)452454
血色素(Hb)(g/dl)13.713.8
ヘマトクリット(Ht)40.341.1
CA-1259010
備考
●術後妊娠出産       


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