「医療は患者が選ぶ時代。賢く選んで悔いの無い治療を受けましょう」
レポートNo.90

大河原美穂(35才)
●病院や医師を選ぶということ
学校で「女性のからだは女性が守らねばならない」という講義を聴いたとき、ふと斎藤先生がおっしゃった「人間の体に不要な臓器など無い」という言葉を思い出しました。確かに虫歯は悪いところだけ削るのに、なぜ子宮はそれができないのか?なぜその技術が進まないのか?「産めば必要ない臓器」という男の論理で子宮を考えていないか?などなど、考えさせられることが数多くあります。

私は自分なりに、医療や病院は選んできたつもりです。不妊治療や子宮の治療、お産に関わる病院は、それぞれ数件尋ねた上で納得できる病院を選びました。医師や病院を選ぶ基準には「患者の訴えにきちんと耳を傾けてくれ、納得のいく治療法を提示してくれる」ことが最低限必要ではないかと思うのです。

保険医療制度で、日本中どこでも同じレベルの医療が低価格で受けられますが、「保健医療=最善の医療」ではない場合もあるということ、自由診療で患者が望む治療が受けられる時代が来ているのだということを感じずにはいられません。


●不妊治療に感じた疑問
V97年に結婚して、子供が欲しくなってもなかなかできなかった私は、不妊治療を受けました。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、不妊治療は大変なものです。ホルモン剤で排卵のコントロールをして、医師から排卵日を予測されて・・。もちろん私だけでなく夫の協力も大切です。

私は20代の前半、社会人になってから生理痛があるようになり、この当時から婦人科検診で筋腫があると言われていました。ただ、急激に成長するようなタイプではなかったようなので、「様子を見ましょう」と定期的な検査だけで、特に治療らしい治療はしていませんでした。

不妊治療を始めてしばらく経ち、「子宮筋腫があるから妊娠できないのでは?」という考えが頭に浮かびました。医師にその話をしてみましたが、あまり真剣に耳を傾けてくれる様子がない上に「筋腫なんて誰でもある」という答え。子宮が健康でないといけないのでは?という私の問いかけに対する答えになっていない上に、「不妊治療はもう体外受精しか方法がない」と言われてしまいました。

この医師から見たら、私が抱いた疑問は些細な事だったかもしれないし、現在の先端技術を駆使すれば妊娠することは容易かったのかもしれません。しかし私にとっては、この疑問はとても重要なことでした。その気持ちや意味をきちんと汲み取っていただけないなら、私とこの先生はちょっと合わないかもしれない・・と感じ、この病院に行くのは止めました。

筋腫があるまま妊娠することに漠然とした不自然さを感じた私は、別の病院でも「筋腫があるから妊娠できないのでは?ちゃんと筋腫を治したほうがいいのでは?」と尋ねてみたところ、私の話もきちんと聞いてもらえて、筋腫の検査もしてくれた上で、「筋腫は無い方が妊娠するかもしれませんね」との返事でした。そこは不妊治療専門で筋腫の治療はできなかったので、筋腫を治療(手術)するための病院を紹介してくれました。


●明後日手術?
さっそく紹介された病院に行ってみると、初診のその日に「筋腫は明後日オペしましょう」と簡単に言われて、すごく驚きました。更に「麻酔の先生やその他いろいろな手配があるから、今ここで決めて欲しい」と言われたのですが、子宮を手術することを私一人で決めてしまうことはできないし、即決できるようなことではないし、とにかくその場は丁重にお断りして帰りました。

その後、筋腫について調べていくと、子宮の周囲は血管が多いため子宮を残す手術は難しく、医師の腕の良し悪しに大きく左右されるということが分かりました。それなら尚更、安直に手術する病院や医師は決められない、私の子宮は腕のいい先生に手術してもらわなくては・・。

数件の婦人科を訪れて、妊娠と筋腫の治療について伺ってみました。とてもいい先生もいらしたのですが、私の求める医療とはズレがあり、「この病院で治療しよう」と決心できる病院はありませんでした。

程なく広尾メディカルクリニックのホームページも見つけ、子宮を残す手術をしていることを知りました。「自由診療ということは、この先生は相当自信があるに違いない」と直感。初診で怪しい印象を受けたら、次から行かなければいいだけのこと。すぐに「行って話だけでも聞いてみよう」と決めました。

初めてお会いした斎藤先生は、お医者様らしくなくちょっと怖い印象でしたが、先生の言葉は自信に溢れ、嘘がありません。この先生なら私の子宮を任せても大丈夫だと確信し、V99年12月に手術を受けました。筋腫だけだと思っていた私のお腹からは、筋腫、腺筋症、チョコレート嚢腫などが摘出され、お腹の中に少し癒着があったようでした。


●健康になって充実した日々、そして突然の妊娠
その後の回復は目覚ましく、あれほど辛かった生理痛がすっかり軽くなり、座っていられないほどの腰痛も嘘のように無くなりました。健康な生理になってからというもの、生理の時も普段とまったく同じように生活できるので、激しい痛みを伴っていた頃のように生理を意識することも無くなっていきました。

このようにすっかり元気になった私は、妊娠のことはしばらく考えないことにして、V00年4月から大学院生として女性学や家族社会学などを学び始めました。勉強を始めたら一気に多忙になり、V01年3月には半月ほどN.Yで徹夜でレポートを書いていたり、とにかく目が回るような、忙しく充実した日々を過ごしました。

忘れもしないV01年4月18日、「雅子様御懐妊」のニュースを聞いたとき、「そう言えば少し遅れているかしら?」と思い、市販の妊娠試験薬で調べたら、なんと陽性!そう言えば少し熱っぽかったけど、疲労のためだと思っていたので、妊娠なんて考えてもいませんでした。

驚きはすぐ嬉しさに変わり、子供を欲しがっていた夫も大喜びでした。あんなに子供を望んで不妊治療までしていた頃は妊娠できなかったのに、自分の健康を取り戻し、妊娠なんて考える間もないほど忙しい充実した日々を送っていたら妊娠するなんて、本当に神様というか運命の“意思”のようなものを感じました。

その後は、雅子様の報道を見るにつけ、「この子も雅子様の赤ちゃんと同じようにスクスクと育っている」と喜びもひとしお。妊娠することができた幸せを体のすみずみまで感じることができました。帝王切開で無事産まれた娘は、元気に7ヶ月目を迎えました。母子ともに健康で、夫も娘をとても可愛がっています。娘の誕生は、あまり妻らしくない私が夫にしてあげられた最大のプレゼントかもしれません。

そして母になってみて、改めて不妊治療の大切さを感じました。私はハイテクな不妊治療を何となく不自然に感じてその治療を受けることはありませんでしたが、健康な状態でもどうしても子宝を授かることができないご夫婦もいることを考えると、不妊治療は必要なのです。医師に言われるままではなく、治療を受けるご夫婦が、数多くある不妊治療からどのような治療を受けるかを考えて、選んで決めるということが大切だと思うのです。


●変化していくと思われる日本の医療
広尾メディカルクリニックを選んだ患者さんの多くは、保健医療よりも広尾メディカルの自由診療を自らの意思で選んだ人たちです。これから日本の医療は、欧米のように患者が自分の受けたい医療を選べる時代になっていくと思います。

医療を提供する側に技術や実績が無ければ、高度で多様な医療を提供することはできませんし、医療を受ける患者側にもそれ相当の費用負担が発生します。命や健康をお金で買うというと語弊があるかもしれませんが、高額な費用を払ってでも高度な治療を受けたい、健康を取り戻したいという人は確実に増えるはずです。

そのとき医療がどのように患者に応えていくのかが、日本の医療の大きな課題と言えるでしょう。このホームページに訪れて体験談をごらんの方々も、納得のいく医師や病院、治療法を賢く選んでいただきたいと思います。
摘出物
摘出物


術 前(pre ope) 術 後(post ope)
赤血球(RBC)454-
血色素(Hb)(g/dl)14-
ヘマトクリット(Ht)40.3-
CA-12549-
備考
●生理痛

●摘出物:腺筋症     1g
     子宮筋腫    3g
     内膜ポリープ  5g
     左卵巣腫瘍   0.5g    


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