子宮筋腫
「長く暗いトンネルを抜け、愛しい我が子を抱ける幸せ」
レポートNo.97

小島幸美(31才)
●妊娠できると言われていたのに・・
結婚後、子供が欲しくなってもなかなか妊娠できず、生理痛もひどくなっていきました。これは子宮に何か異常がある、筋腫かも…と、大学病院で検査を受けたところ、MRIで「腺筋症です。これは筋腫と違って手術はできません。薬で小さくする方法で治療しましょう」との診断。「ひどくはありませんが、子宮の大きさが普通の倍くらいになっています。生理を止めて子宮を小さくした方が妊娠しやすいので半年くらい生理を止めましょう」と説明されました。副作用などが怖くホルモン療法になかなか踏み切れず、大学病院に定期的に通うのも大変だったので、近所の小さいクリニックに行く事にしました。

そこでは「(子宮内膜に)普通の8割くらいの面積が残っているので妊娠する可能性は充分にある」と言われましたが、精神的に不安定になっていたためか、今まで規則正しかった生理が不順になり、卵子がうまく育たなかったりして、うまくいかないことの連続でした。クリニックの医師がホルモン剤で調子を整えようと試みるのですが、私の体はそれに激しく抵抗しているようで、生理が月に2度あったりして、自分の体がどうなってしまうのか不安でした。

そんな折、妹が「今月2人目を作る!」と宣言。私は自分が不妊治療をして、正常なカップルでも妊娠は20〜30%の確率と知っていたので、「妊娠ってそんな簡単じゃないよ」と妹に言いましたが、彼女はアッサリ妊娠、その事実は私を打ちのめしました。同じ親から生まれた姉妹なのに、なぜ私だけ妊娠できないの?どうして・・?

この頃は本当に精神的に参っていて、夫に「今月も卵が育ってないんだって・・」と涙ながらに報告することも。こんな調子だったので、「ホルモンの分泌が不安定だからこのままでは妊娠しづらい。今のうちに生理を止めて腺筋症を治療しましょう」と医師から治療についての提案がありました。でもその薬は更年期のような強い副作用があり骨密度が減るので長期間は使えず、薬を止めた後、腫瘍は元通りの大きさに戻ってしまうと聞いていました。

結局は、薬で腫瘍を小さくする→薬を止めてすぐ妊娠するべく努力する、という半ば賭けのような治療。運良く妊娠できればいいけれど、妊娠できずに副作用などで体に悪影響だけを残す可能性も高いのです。それに「今はそんなにひどくないから妊娠できると思うけど、いずれ10年後くらいには子宮を全摘しなくてはならないでしょう」とも言われており、生理が重くなって苦しい思いをした挙句、10年後には子宮全摘では、あまりにも辛すぎる・・。


●私を救った友人からのプリント
このままで本当に妊娠できるの?私はいったいどうすればいいの?と悩みぬいていた時、最初に大学病院にかかった頃、友人が持ってきてくれたホームページのプリントを思い出し、改めてそのプリントをじっくり読みました。最初は「自費診療なんて高すぎるし怪しいし、私には関係ないわ」と思っていたのですが、どこかに「ここが私の切り札になるかも」という気持ちもあったのでしょう。

私は、自分はそれほど重症ではないと思っていたのですが、充分妊娠できるとの診断にも関わらず2年も妊娠できず、ホルモン療法をすればその期間は妊娠不可能なわけだし、斎藤先生の手術を受ければその後は妊娠できる可能性が高くなりそうだし・・と私なりに考えました。そして出口の無いトンネルにいるような現状を打破するためにも斎藤先生の診察を受け、斎藤先生が手術をした方が良いと判断すれば、手術も受けよう!と決心しました。

なぜ会った事も無い先生をここまで信頼できたのでしょう。実名やメールアドレスを公開した体験談の数々。そのほとんどの皆さんが、苦しみぬいて行き着いた先が広尾メディカルクリニックであり、術後の健康の素晴らしさに心から感謝している事。斎藤先生は、長い間、大病院で子宮ガン専門の手術をされていて腕は確かそうだったこと。斎藤先生の著書「子宮を残したい10人の選択」にはとても信憑性があったこと、などが決め手でした。

当時は妙な新興宗教がニュースを賑わしていた時期で、母は「新手の新興宗教じゃないの?」と不安そうでしたが、私の説明で納得してくれました。夫も自費診療であることを怪しんでいましたが、「診察だけでも受けたい」という私の強い希望に負けて、怪しければ止めればいいと、一緒に行ってくれることになりました。

広尾メディカルクリニックに行くために大学病院にMRIを借りに行ったら「コピーはできない」「どこの病院に行くのか?」「そちらの病院に紹介状と一緒なら送ります(広尾MCの初診に間に合わない)」などと、医療情報の出し渋りをされました。本来、検査データなどの医療情報は患者のものであるはず。大学病院だから「ウチ以上の治療ができるところは無い」と天狗になっているような印象を受けました。さんざん渋られた挙句、「前代未聞です!」などと嫌味を言われながら、やっとデータを出してもらえました。


●手術即決
広尾MCは普通の家のような雰囲気で、やわらかく上品で落ち着いた印象でした。こんなこぢんまりとしたところで体験談のような大手術が行われているとは信じられませんでした。白衣を着ていない60歳くらいの男性が来たな〜と思っていたらそれが斎藤先生で、夫と一緒に診察室に入りました。

MRIをご覧になった先生の第一声は「ああ、これじゃあ妊娠は無理だねぇ」。ショックでしたが、「やっぱり!」という思いも強くありました。「手術すれば大丈夫だよ」と続いておっしゃられたので一安心でした。私が、このままでも妊娠できると言われた事や今までの経緯を話すと、説明のために絵を書いてくださり、MRIの画像と並べて
  • 私の子宮は腫瘍のため内腔が潰れて着床できない
  • 子宮が後屈しているため卵巣と卵管の距離が遠くなり、卵管が卵子をキャッチしにくい可能性がある

など、解りやすく説明してくださいました。(大学病院ではMRIを撮っただけで何の説明もナシ)一緒に聞いていた夫も納得し、先生が「一旦家に戻って、よく話し合って電話でお返事ください」とおっしゃるのに、その場で手術の予約をお願いしました。2月の初診で5月手術でしたから、広尾MCの現状を考えると早く手術できる方だったのですが、当時は「え〜っ!そんな先?」と思ったものでした。

その日は金曜日。お茶会で退院間近の患者さんとお話する事ができました。患者さんは、術後4日目とは思えないほど明るく元気で、楽しそうでした。彼女達は40歳を過ぎているように見えましたが、出産を終えても子宮を残したいという考えには感銘を受けました。医師には圧倒的に男性が多く、そのせいか「子宮は産むための臓器。だからそれ以外は使わない・必要ない」と考えられているように思えてならない昨今。全摘すれば子宮ガンのリスクも回避できるなどと言われて、腑に落ちないながら全摘する患者さんも多いと思うのです。斎藤先生は「取ってもいい臓器は無い。女性に子宮は大切な臓器。摘出してしまうとエンジンを取られた車のようなもの」とおっしゃいます。私も同感です。でも、私が「子供はいらない」という状況だったら、斎藤先生の手術を受けたかどうかは分かりません・・。


●ホクロも取ってもらえると思っていたら・・
体験談を読み、希望に満ち満ちて臨んだ手術はけっこう大変でした。入院はたった1週間だし、体験談で「手術して健康になって幸せです!」というイメージをあまりにも強く印象付けられてしまい、ルンルン気分で入院したので、開腹手術が実はどれほど大変な事か考えていなかったのです。

手術中は、麻酔もよく効き、先生とお話をしながら手術を楽しんでいる?!ほどで、そろそろ手術も終盤かな〜と思ったので、斎藤先生に「ついでにホクロも取ってください」と言ったら「こっちは命を賭けて手術してるのにそんな余裕はない!」と叱られてしまいました。手術前に約束したのに・・。

それくらい、手術中は私には余裕があったのですが、術後は一変して奈落の底に突き落とされたようでした。咳をしたら傷口に激痛が走り、内臓の動きが悪くなるからと痛み止めも使ってもらえず必死に痛みに耐え、本当に辛い一晩でした。私のお産は帝王切開だろうから、「手術がこんなに辛く痛いなら子供はいらない!」とさえ思ったものでした。

関西在住の私には、関東風味のお食事が口に合わず、退院前のお寿司以外はあまり食べる事ができなかった事も、辛さに拍車をかけたかもしれません。最初はどうなるかと思った傷の痛みや辛さは日を追うごとに軽くなり、金曜日には格段に元気になっていました。私が初診の時に参加したお茶会の日。初診の方たち5〜6人が入れ替わりでいらして、ケーキをいただきながら色々とお話を伺いました。誰もが私より重症で、早く彼女達も手術を受けて幸せになって欲しい・・と思っているのに、斎藤先生からは「この人、手術中にホクロを取ってくれなんて言うんだよ。こっちは必死なのに」と話のタネにされ、身の縮む思いでした。

退院の日、斎藤先生は東京駅の新幹線ホームまで送ってくださって、荷物などを座席まで運んでくださいました。新幹線を待つ間、ホームで「出血はあった?」「次の生理は普通なら術後1ヶ月で来るけど、君の場合は妊娠を望んでいるので内膜にメスを入れていないから、先月と同じように予定通りに来るはず」などと平気で話し合う私たち。そんな自分にクスリとしながら、斎藤先生への言い尽くせない感謝とお別れする寂しさで、外から手を振って見送ってくれる先生の姿に涙が溢れてしまいました。

術後はヘモグロビンが7まで落ちていたので体がしんどく、一人で東京から関西の自宅まで帰るのは一苦労でした。その後、本当に先生のおっしゃったように、術後わずか2週間余りで予定通り生理が来て驚きました。不正出血かと思うくらいの出血の少なさや痛みの無さにも驚きました。


●愛娘をこの腕に抱けた喜び
その後、手術から1年9ヵ月後には娘を出産。ということは、術後1年そこそこで妊娠していた計算になります。手術前、長い不妊治療にも報われず辛く暗い毎日だったのが嘘のよう。娘の奈々を抱きながら、この子が授かったのは、ひとえに斎藤先生に子宮を健康にしていただいたお陰なのだと感謝の気持ちでいっぱいです。

斎藤先生が活躍されているこの時代に生き、広尾MCに辿り着くまでに長い歳月をかける人が多い中、早くに先生の存在を知り手術できた私は幸運でした。先生、これからもお体に気をつけて、筋腫や腺筋症で苦しむ多くの女性が、生理を恐れず生活できる健康な子宮を取り戻せるよう頑張ってください。

入院期間は短いのに、なぜかとても懐かしく、卒業した母校を思うような気持ちになる、広尾MCはそんなクリニックです。診察だけでも受けてみる価値は充分にあります。一人で悩み苦しんでいないで、ぜひ広尾MCのドアをノックしてみてください。得るものはきっとありますから・・。
術前(Pre-OP)MRI
術前MRI画像1 術前MRI画像2 術前MRI画像3
術前MRI画像4 術前MRI画像5

術後(Post-OP)MRI
術後MRI画像1 術後MRI画像2
術後MRI画像3 術後MRI画像4

摘出物
摘出物1 摘出物2
保存子宮
保存子宮

  術前(Pre-OP) 術後(Post-OP)
赤血球(RBC) 420 417
血色素(Hb) 12.5 12.8
ヘマトクリット(Ht) 36.4 37.9
CA-125 25 -
備 考 *近年の生理過多、生理痛
*術後妊娠、出産



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