20年来の貧血を克服して
レポートNo.105

広田真裕美(48歳)
●20歳代からの貧血
私と貧血との付き合いは20歳代の後半から始まりました。慢性的に爪が白く、心臓がドキドキと鼓動するのが聞こえるほどで、階段を上ればすぐに息が切れ、立ちくらみもよくありました。

貧血の治療のために入院した病院で、婦人科を紹介されて、そこで子宮筋腫があることが分かりました。ずっと以前から生理の出血がひどく、それが貧血の原因になっているのだろうとは思っていましたが、まさか子宮に病気があるとは考えてもみなかったので、病名を聞いた時はショックでした。

若い女性なら誰でも同じような感想をもつと思うのですが、私も子宮筋腫というのは中年以降の女性がかかる病気であって、まだまだ若い自分に子宮筋腫があるなんて、全く考えてもみませんでした。


●結婚後すぐに妊娠
30歳で子宮筋腫の核出手術を受けました。開腹せずに膣から筋腫を取り出す手術でした。手術についての説明はあまり詳しくは覚えていませんが、今にして思うと、子宮内腔に突出した筋腫であったため、このような手術が可能だったのではないかと思います。

この手術のあと、生理時の出血はかなり少なくなり、結果的に貧血も改善されました。 その後、38歳で結婚。すぐに妊娠し、妊娠中はたいしたトラブルもなく、無事に長女を出産しました。今から10年前のことです。

子育てに追われる毎日を過ごしているうちに、また貧血の症状が強くなってきました。少しのことにも疲れやすく、動悸や息切れを自覚するようになりましたが、小さい子どもがいる生活では病院に行く時間を確保することも大変で、身体の不調をだましだまし暮らしていました。


●貧血の治療とホルモン治療
貧血がひどくなっているということは、子宮筋腫が再発して大きくなっているということです。事実、40歳代になってから生理の時の出血がまた多くなってきて、これが貧血をもたらしていることは容易に想像できました。

いよいよ症状が進み、46歳の時に自宅の近くにあるN医大付属のN病院で貧血の治療を受けましたが、この時のヘモグロビン値はおそらく5〜6であったと思います。

鉄剤、ビタミンCなどで貧血の治療をする一方で、生理の出血を止める目的で半年間のホルモン治療も受けました。

しかし、ホルモン治療中も出血が全くないわけではなく、毎月の生理予定日の頃になると2〜3日は軽い出血がありました。それでも、出血量が以前とは比べものにならないくらい少なくなったため、貧血はずいぶん改善されました。


●「Be」で広尾を知る
半年のホルモン治療が終わると、また生理が始まり出血が多くなりました。ホルモン治療はあくまで対症療法であって、子宮筋腫の根治治療ではないことがわかって、それ以上ホルモン治療を続けてもしかたがないと思うようになり、ホルモン治療は1回で終わりにしました。

ホルモン治療に代わるものとして手術も勧められましたが、「手術は全摘しかありません」と言われ、やはり全摘手術にはとうてい踏み切れませんでした。何によらず本来あるべき臓器を失うことの恐怖があったからです。

それというのも、私の母はかつて胃を全摘しており、その後、後遺症に苦しむ姿を間近に見てきたからなのです。今も水を飲むことにさえ苦労しています。

ホルモン治療も全摘手術も納得できずにいた2003年の夏、たまたま朝日新聞の土曜日版「Be」を読んでいて、「最新治療あの手この手」の欄で広尾メディカルの斎藤先生が紹介されているのを目にしました。

「レーザー使い子宮温存」というタイトルに吸い寄せられるように一気に読み、この欄を切り抜きました。「最後はここに行こう」という最後の切り札のような思いがあり、切り抜いて大事にとっておくことにしたのです。


●100グラムの筋腫
それからしばらくして広尾で初診を受け、手術を予約しました。
手術は2004年の3月24日。子どもの春休みに合わせて入院することができて幸いでした。手術時間は1時間半と短く、摘出していただいた筋腫は100グラムでした。

患者さんの中には何キロという大きな筋腫の方もいるようですが、それに比べればわずか100グラム。しかし、この100グラムの筋腫がひどい貧血の原因になっていたことを思うと、症状の重さは筋腫の大きさではないことがよくわかりました。

主人は「車を買い換える予定が手術代になってしまったな」と笑っていましたが、もちろん手術には賛成で、長い貧血から解放されて元気になった私を見て、安心したようです。

健康を取り戻した今、贅沢な後悔だとは思いますが、「もう少し早く、斎藤先生に出会えればよかったな」という思いがないわけではありません。もしもう5年早く先生に手術していただけたら、2人目の子どもを考えることもできたかもしれません。

でも、今こうして小学生の娘と親子3人で元気に過ごせることに感謝しています。
そして、私のこのつたない体験談を読まれた方が、あと一歩を踏み出して、広尾メディカルへの電話を手に取ることができれば、とても嬉しく思います。



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