「"人間の体に不要な部分など無い"が私の持論」
レポートNo.6

吉田 彰
妻は結婚前から生理の重いタイプでした。男の立場では「生理の重い人なんだな」程度の認識しかなく、判断基準も無いのに体質なんだと思い込んでいました。月に1〜2日は辛そうだけど、あとは元気にしているので、妻の生理痛について特に気にとめたことはありませんでした。

6年前、妻は筋腫があると告げられました。その後、だんだん筋腫は大きくなり、摘出手術を迫られる大きさに達しました。子宮や卵巣を取り去ってしまえば生理は無くなり、確かに生理痛からは開放されるでしょうが、様々な弊害が起こるリスクも高いはず。「人間の体に不要な部分など無い」が私の持論です。とにかく残せるモノなら残さないとダメだと思いました。「お子さんもいることだし、年齢的にもそろそろいいでしょう」という医師側の摘出を勧める言葉は、「絶対に、違う」と今でも思います。

O病院での手術を決めた後の妻の様子は、あるときは元気で活動的なのに、ふと考え込んでボンヤリしていたりと、傍から見ていても情緒不安定がハッキリわかるほどでした。2年前、私が胸膜炎で入院した時、癌の疑いもあり検査検査の毎日でした。そんなユウウツな日々を支え、心を和ませてくれたのは妻でした。毎日毎日顔を見せてくれ、何気ない会話が励みにも救いにもなりました。手術を控えて不安定な妻の様子を目の当たりにして「今度はオレが救う番だ」という思いが蓄積していきました。

術前のMRI検査で、妻が筋腫ではなく腺筋症だと判明し、筋腫でなければ何か治療法があるかもしれない!と色々調べました。治療法を探しているうちにインターネットで「広尾メディカルクリニック」を見つけ、「ここなら妻を何とか救ってくれるのでは・・」と感じたので、とにかく妻を説得して診察を受けさせようと、ホームページを全てプリントして読ませました。

既にかかりつけのO病院で手術が決まっており、手術まで3週間という時期だったので妻は全く乗り気ではありませんでしたが、何とか説得し2人して「広尾メディカルクリニック」へ。斎藤先生から説明を受けている間にも「とにかくここで手術だ」と確信した私は、即日、費用やスケジュールへと話を進めました。費用は思っていたより高めでしたが、私は「このくらいはかかるだろう、手術は受けてもらおう」と即決でした。しかし手術を受ける妻が、「子供の学費もあるし・・」と、尻込みしてしまいました。私は、「元気になるために今、まとめて払うのも、閉経までに薬や診察で払いつづけるのも、金額的にそう違いは無いはずだ、同じ時間を生きるなら元気に生きた方が絶対にいい。」と、「広尾メディカルクリニック」での手術を納得させました。

確かに保険診療では費用は1/3ほどで済みますが、先にも述べましたように、全摘後の体への影響を考えると、費用は出せるのだから「広尾」でオペして欲しい、というのが私の願いでした。

妻が腺筋症であることに先生も大変驚かれていましたが、「大変だが、子宮を残して治せる。」と、キッパリ言ってもらったときは、探した甲斐があったと安心すると共に心強さを感じました。

今回の妻の手術で教えられた事は、諦めたら何もできない、情報の面でも費用の面でもタイミングでも。求めれば道は必ず見つけられるということでした。どこかで誰かが妥協していたら、10歳も20歳も若返ったような今のハツラツとした妻の姿は無かったでしょう。

現在、日本の医療の問題は、「保険診療制度」では医療機関がいかにベストを尽くそうとも、それは本人や家族の本意ではない場合がある事です。本人や家族の望む質の高い治療は「保険適用内」では限界があり、望む治療は「保険外」で、しかもその技術は一部の個人の医師に委ねられている、これが日本の医療の一面なのです。

最後に、術後、妻はメキメキと元気になり、前にも増して人生をエンジョイしているようです。そんな妻を見るにつけ、人となりは“赤ひげ”、技術の高さは“ブラック・ジャック”を彷彿とさせる齋藤先生に感謝し、また、早く日本の保健医療にその高度な技術が取り入れられ、普及する事を願います。

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HIROO MEDICAL CLINIC